〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

岩手大文学部を石川啄木学科に……

賢治とわたし
(3)劇作家 平田オリザさん 53
「誰人もみな芸術家たる感受をなせ」という賢治の呼びかけに導かれるように、全国で文化による地域おこしをしている平田オリザさんに、賢治の思想に共鳴する理由を尋ねた。

  • 「オリザ」という本名からして、賢治とゆかりが深そうですね。
  • 生誕120年を迎える賢治の作品を、今どのように読みますか。
    • いろんな見方ができる、プリズムのような作家です。東日本大震災を経験した日本人には、不条理を描いた作家と捉えることができます。津波から逃れて生き残った人と、亡くなった人の境界線に理由などありません。賢治の作品にも「銀河鉄道の夜」のように、唐突に死が訪れるものが多いのです。
  • これからの岩手県の可能性をどう見ますか。
    • 岩手大の全学部を廃止して「宮沢賢治学部」にしてはどうでしょう。哲学も化学も農学も全部できます。東京の私学にリベラルアーツ学部なんてのはたくさんありますから、宮沢賢治学部の方が魅力的。文学部を石川啄木学科にしたり。それくらいの攻めがないとね。

(聞き手 吉田尚司)
(2016-08-16 読売新聞)