〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「ふるさとの “駅弁” なつかし、停車場の…」


[カランコエラクシフローラ]


ご当地で売っていない駅弁の謎
― 木村和久の「オヤ充のススメ」その57 ―

  • 最近、新幹線や特急列車に乗る機会が増え、やや鉄ちゃんが入っている初老のオヤジとしては嬉しい限りだ。そこでの楽しみといえば、そりゃ駅弁でしょ。
  • この前、ふらりと東京駅で見つけた駅弁が、地元宮城の、しかも石巻地方のもので小躍りしながら買った。紹介しよう、それは「新みやぎ三陸黄金街道」という代物だ。黄金と聞いてピンと来てないが、日本最古クラスの金は、石巻地方の涌谷というところで採掘され、奈良の大仏建立の際に納めたと言われている。もちろん、中尊寺金色堂の黄金もこのエリアのを利用している。
  • 駅弁を列車内で食べる風習がないとはいえ、ご当地駅弁が、地元で売ってないのは残念だと思って、周りを見まわすと、案外、ご当地以外の所で売っている駅弁が多いのに驚く。
  • というわけで、石川啄木が「ふるさとの訛りなつかし停車場の人ごみの中にそを聞きに行く」と詠んだけど、 今は「ふるさとの駅弁なつかし、停車場の駅弁売り場に、そを買いに行く」じゃないでしょうか。
  • そしてふるさとの駅弁を食べながら、ふるさとに帰るってなんかおかしくないか?
  • ちなみに駅弁ではないが、仙台の有名お土産「萩の月」は宮城、山形、岩手、福島のみの販売で、首都圏では正式には売ってない。ふるさとに帰らないければ買えない味。そういう頑固な駅弁があってもいいと思いますけどね。(木村和久)

(2015-02-12 日刊SPA!

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