〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「土」(長塚節)が朝日新聞に連載時、校正係は石川啄木


[ミツマタ]


長塚節、永遠の魅力 没後100年で講演、「土」上映

  • 常総市出身の歌人で小説家、長塚節の没後100年の記念講演・上映会が8日、同市新石下の地域交流センターで開かれ、歌人で文芸評論家の三枝昂之氏が「鋭敏な自然描写に命の意識が加わり、身をもって短歌の奥深さを後世に示した」と、節の永遠の魅力を語った。小説「土」を原作とした貴重な映画も上映された。
  • 三枝氏は「わが命惜し-長塚節再発見」と題して講演。21歳で正岡子規を訪ね、喉頭結核で亡くなる36歳まで研ぎ澄まされた節の歌風に迫った。
  • 作品「馬追虫(うまおい)の髭(ひげ)のそよろに来る秋はまなこを閉ぢて想ひ見るべし」について、「秋はどうやってくるのか。小さな馬追虫の髭のようにという。短歌1400年の歴史の中で最も敏感に秋を詠んだ歌」と絶賛した。
  • 「土」が朝日新聞に連載された当時、校正係に石川啄木がいた事実を「暗示的風景」と指摘。心理描写にこだわった啄木の小説に対し、自然や人々の暮らしを描いたことで「節の小説は今も生きている」とたたえた。
  • この日、市内外から約千人が訪れた。あいさつに立った節のめい長塚知子さん(94)は「外は大粒の雨。節がうれし涙をこらえきれなかったのでしょう」と満員の客席に感謝した。 (松田拓朗)

(2015-02-10 茨城新聞

────────────────────────────────────