- 人は見かけによらずというが、石川啄木の女性遍歴には少々驚く。きのうの本紙「啄木、罪作り 真の恋人はどっち?」の記事を読んで、ずっと思い描いてきた歌人のイメージがしぼんだ。
- <たはむれに母を背負ひてそのあまり軽きに泣きて三歩あゆまず>。歌集「一握の砂」に収められた、啄木の代表作だ。<はたらけどはたらけど猶(なお)わが生活(くらし)楽にならざりぢっと手を見る>の一首もある。
- 芸妓と遊ぶ金はあるのに、どうして<わが生活楽にならざり>なのかと、つい真面目に考え込んでしまう。同郷で親友だった言語学者の金田一京助氏には、しばしば金の無心までしていたらしい。文学にはどうしても、借金と浮名が付いてまわるようだ。
(2015-01-14 Web東奥日報)
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