啄木短歌の味わい方提唱
郷土の本棚 岩手日報
「響きで楽しむ『一握の砂』」目良卓 著 桜出版
- 多くの人に親しまれている石川啄木の短歌。一度も目にしたことはないという人はいないだろう。啄木文学を「明日へ向かって真剣に生きる者への限りない応援歌」と称賛する著者が、その短歌の新たな味わい方を提唱したのが本書。
- 言葉の響きに込められた心理やイメージから短歌にアプローチする方法を提唱。分析に用いたのは、音の響きによる分析「音相学」だ。
「東海の小島の磯の白砂に/われ泣きぬれて/蟹とたはむる」
- 1行目と2行目は有声音が多く、沈んだ心理を、3行目は最後の3音の響きが暗めで心のやるせなさを表していると分析する。
- 響きの分析は、「感覚だけに頼ってきた詩歌の明るさ、暗さや強さ、弱さといった印象に一定の根拠が与えられる」と力説する。
「響きで楽しむ『一握の砂』」
目良卓 著 桜出版(電 03-3269-3420) 1,620円
(2014-06-08 岩手日報)
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