郷土の本棚 -岩手日報-
『石川啄木入門』 池田 功 著
桜出版 1260円
<作品世界の新たな扉開く>
- 幅広い研究成果を一般向けに分かりやすく解説。啄木の代名詞といえる短歌や詩に加え、比較的なじみの薄い小説や評論、日記などを挙げ、啄木文学への新しい扉を開いて見せている。
- 国語の教科書に採用された啄木短歌の分析が興味を引く。戦前は、望郷や親孝行。戦後は採用数が減少。平成の調査では再び歌人のトップに返り咲き、若者が未来への夢を託す <不来方のお城の草に寝ころびて/空に吸はれし/十五の心> が最も多いという。
- 巻末には文庫本の入門書を案内。教科書で習った短歌だけで、石川啄木を知っている気分になっている人にも薦めたい一冊だ。
(2014-02-23 岩手日報)