〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

国際啄木学会2013年大会から -上-


[ワレモコウ]


啄木と釧路
 国際啄木学会2013年大会から -上-
国際啄木学会の2013年釧路大会が9月の7、8日の両日開かれた。
◎研究発表

  • 福地順一さん(近代文学研究家)は「啄木における北海道」と題し、啄木が函館、札幌、釧路を転々とし、新聞記者などをして過ごした影響を考察した。函館で雑誌『紅苜蓿』の仲間の影響を受け、小樽では社会主義思想に傾倒を深めたと紹介した。
  • 水野信太郎さん(北翔大学教授)は「石川啄木が『日本人受けする』4要素」とし、啄木作品が親しまれる理由をひもといた。表現手法が易しい、作品の設定場面が身近、薄幸で若くして亡くなったことに同情心が強い、誰もが知る多くの著名人と関わりを持っているーを挙げた。
  • 山田武秋さん(桜出版編集主幹)は「石川啄木『一元二面観』再考」と題し、啄木が理論的な支柱とした「一元二面観」について、釧路の書店で購入した石川即聞の「仏教哲学汎論」を基に理論構築したことを紹介した。
  • 田口道昭さん(立命館大学教授)は「『時代閉塞の現状』の射程」を発表。社会主義運動を弾圧した「大逆事件」を憂慮した評論「時代閉塞の現状」をめぐり、社会情勢打破を啄木が呼び掛けた青年層は中学校卒業以上と指摘した。

(2013-09-12 岩手日報