〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

風土計 岩手日報

  • 「東海の小島の磯の白砂に/われ泣きぬれて/蟹(かに)とたはむる」。石川啄木の歌集「一握の砂」の冒頭にあるこの歌は、今も多くの人に口ずさまれる。
  • 北海道函館市にある啄木の墓標にも刻まれた歌。詠まれている情景は、函館の大森浜を思い描いたとされる。啄木が好んで散策した海岸だ。天気が良い日なら、そこからは津軽海峡の向こうに青森県下北半島の大間崎が見える。
  • 本州最北端のその岬には、同じ「東海の−」の歌碑が建つ。海を挟んで近隣の函館市大間町。フェリーが行き来するつながりもある。しかし今、そんな両自治体が対立している。電源開発(Jパワー)・大間原発の建設工事再開が原因だ。

(2012-10-06 岩手日報>風土計)