〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

北海道のドラマ随所に -北海道新聞-


[ヒガンバナ]


《啄木特集》啄木と遺産

石川啄木は26年2カ月の短い人生で、短歌のほか、詩、小説、日記、新聞記事などを数多く残した。上京するまでの 1年弱の北海道縦断の足跡は、書き物の素材として数多く描かれ、今日にその時の様子を伝えている。明治後半、開拓期の本道をしのばせる貴重な記録として、道内各地の歴史を彩る遺産ともいえそうだ。

  • 評論「北海の三都」で「北海道は実に我々日本人の為に開かれた自由の国土であつた」と記した啄木。故郷岩手県渋民村を追われるように出た身には、この新天地には期するものがあったことがうかがえる。
  • 特に函館には、一族 8人が納骨された「石川啄木一族の墓」がある。さらに直筆資料などが集中して保存されるなど、研究者・愛好者垂ぜんの的の函館市中央図書館「啄木文庫」もある。

◎ 啄木が残した主な作品(日記、新聞記事も含めて)

  ・短歌 4128首 ---「一握の砂」に 北海道関連の歌 140首以上
  ・詩   364編 ---小樽日報に 6編、「紅苜蓿」に 9編
  ・小説(未完も含めて) 15編 ---北海道関連 4編(他に小説断片にもあり)
  ・日記 13冊 ---「明治 41年日誌」などに北海道漂泊の記述
  ・記事 小樽日報 約 80本
      釧路新聞 約 100本

  • 北翔大の水野信太郎教授は言う。啄木は「『地域振興装置』としての可能性は極めて高いものがあります。観光資源や物販も含め、経済活動にももっと活かす余地はあっていいのでは」

編集委員 黒川伸一)

(2012-08-27 北海道新聞