第 11 回
第一部 青春の輝き(7)
田中正造墓所(栃木・佐野市)
鉱山鉱毒の惨状思う
- 盛岡中学時代の啄木は友人とさまざまなグループを作り、文学の素地を養った。4年生でつくった短歌グループで詠んだ歌の碑が栃木県佐野市の惣宗寺にある。
夕川に葦は枯れたり血にまどふ民の叫びのなど悲しきや
(2012-06-13 岩手日報)
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第12 回
第一部 青春の輝き(8)
帰帆場公園(北上市)
初恋と友を懐かしむ
- 啄木が後に結婚することになる堀合節子に出会うのは盛岡中学時代。数え年で14歳。JR北上駅西口から北へ歩いて10分ほどにある帰帆場公園に歌の碑が建っている。
わが恋を/はじめて友にうち明けし夜のことなど/思ひ出づる日
- 啄木は、何人かの友に節子との恋を語っている。その中に黒沢尻町(現・北上市)出身の小沢恒一がいる。啄木が「絶対秘密」だと言ったので、節子への思いを受け止めた小沢は約束を守った。
(2012-06-20 岩手日報)
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第13 回
第一部 青春の輝き(9)
富士見橋(盛岡市)
一家背負う新婚生活
- 恋人堀合節子と婚約し、初の詩集「あこがれ」を刊行。好転し始めた人生を大きく変える出来事が故郷で起きた。父一禎が宗費納入を怠り、住職を免職されたのだ。寺の長男として経済的な苦労を知らずに育った啄木に突然、一家の生活が重くのしかかった。
- 一家は新婚生活を送った帷子小路の家から、盛岡市加賀野に転居する。
岩手山/秋はふもとの三方の/野に満つる虫を何と聴くらむ
- この家の近く、中津川にかかる富士見橋の親柱に啄木の歌が刻まれている。
(2012-06-27 岩手日報)