2012-08-20 …玉蜀黍(たうもろこし)の焼くるにほひよ 石川啄木 啄木 広場 [オトギリソウ] 「天地人」 東奥日報 弘前市の岩木山麓で育った嶽きみをスーパーで見掛けるようになった。嶽きみを知ってトウモロコシに対する認識を新たにした人も多いだろう。あの甘さ、おいしさは本県(青森)の自慢だ。県外の親戚や知人に贈ると手放しで喜んでくれる。 《 しんとして幅広き街の秋の夜の玉蜀黍(たうもろこし)の焼くるにほひよ 》。100年ほど前、石川啄木が札幌にいた時の歌だ。啄木の手に掛かると、普段、うまいうまいと食べているトウモロコシが文学的な余韻を帯びて、札幌の街の風情を浮き立たせる。 北海道出身の作家・渡辺淳一はトウキビ(トウモロコシ)を食べる度に、この歌を思い出すという。 渡辺は短い夏を惜しみ、来るべき冬を思いながら、一粒一粒トウキビを食べたとか。 今年は米国が深刻な干ばつで、トウモロコシが大変な不作だという。地球温暖化で嶽きみもいつ不順天候に見舞われるか分からない。 (2012-08-20 東奥日報>天地人)