<啄木行事レポート>
◎ 閲覧室資料紹介「石川啄木の世界」
啄木の生涯を紹介した書、石川啄木全集(筑摩書房)、詩、短歌、小説、評論その他、合わせて80冊余が並んでいる。手にとって読むことができるのは素晴らしい。
企画展図録の表紙。
◎ 夢の家
企画展示の終わりのほうに、石川啄木記念館が作製した啄木の夢の家の模型があった。
西洋風の広い家。花の咲く庭で大勢の子どもたちに囲まれた啄木。節子は部屋で子どもを抱いて椅子に座っている。洋風の家具、二階に上がる広い階段、明るい書斎、フェンスのすぐ近くに鉄道線路もある。
それは、啄木の詩「呼子と口笛」(一九一一・六・二五・TOKYO)をもとにしている。
< 家 >
今朝も、ふと、目のさめしとき、
わが家と呼ぶべき家の欲しくなりて、
顔洗ふ間もそのことをそこはかとなく思ひしが、
(略)
場所は、鉄道に遠からぬ、
心おきなき故郷の村のはづれに選びてむ。
西洋風の木造のさっぱりとしたひと構へ、
高からずとも、さてはまた何の飾りのなしとても、
広き階段とバルコンと明るき書斎……
げにさなり、すわり心地のよき椅子も。
(略)
美術館の屋根に迫る甲斐駒ヶ岳。
(<啄木行事レポート>「石川啄木 愛と悲しみの歌」終)