〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「石川啄木 愛と悲しみの歌」展 &「茂吉再生」


[カエデ]


茂吉の熱情 啄木の叙情
斎藤茂吉石川啄木の展覧会がそれぞれ、横浜市甲府市で開かれている。70歳まで生きた近代短歌を代表する歌人と、貧しさに苦しみ26歳で逝った夭折の歌人。対照的に生命の輝きを詠み続けた二人の歌の世界を感じ取る貴重な機会だ。(文化部 金巻有美、待田晋哉)

  • 横浜市の県立神奈川近代文学館「茂吉再生」(6月10日まで)は、生誕130年を記念し、歌稿や書簡など約400点で生涯をたどる。「茂吉の歌の源泉と全体像がくっきりとあらわれる、今までにないもの」(本展編集委員歌人の三枝昂之さん)となった。
  • 甲府市山梨県立文学館の「石川啄木 愛と悲しみの歌」展(6月24日まで)は明治末年、1912年の死去から100年にあたることから企画された。「愛する妹へ 著者」の書き入れがある第1歌集『一握の砂』をはじめ、原稿や書簡類など80点が展示されている。
  • 文学で有名人になることに憧れた啄木。第2歌集『悲しき玩具』の発刊を待たずに死ぬ。だが今年は、『別冊太陽 石川啄木』(平凡社)、近藤典彦編『復元 啄木新歌集』(桜出版)など関連書籍も相次ぐ。悲しみの叙情は、100年後の人々に愛唱されている。

(2012-05-08 読売新聞>文芸)