〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

啄木愛される理由 記念館の菅原館長に聞く

岩手出身の歌人石川啄木が亡くなって100年。魅力は色あせず、13日の啄木忌には県内外から多くのファンが啄木の出身地、盛岡・渋民を訪れた。愛され続ける理由は何か。石川啄木記念館の菅原寿館長に聞いた。

  • 100年前の作品だが現代の人間にも通じるテーマが多く、普遍性がある。人間として共通するものに着目し、感得しているすごさが啄木にはある。
  • 人生に真っ正面からぶつかった人でもある。喜びや悲しみの体験を逃げずに受け止め見つめている。経験が頭の中で濾過され、温められたものを言葉として吐露した。「話すすべてが詩のようだった」と言われたほどだ。
  • 私自身、今回の震災で陸前高田市にある実家をなくした。北の海の潮が香る街は啄木の詩にぴったりだったのに。壊滅的、未曽有という言葉の通りになり、復興が進む中で改めてふるさとのありがたさが分かった。この望郷の気持ちを啄木はすでに歌ってくれている。啄木のひ孫石川真一さんは、啄木の詩が「被災した人の激励になれば」と話している。その通り、激励歌、人生賛歌だと思う。

(2012-04-20 朝日新聞>マイタウン>岩手)