〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

4月12日付・啄木没後100年

  • 子どもの頃、家が貧乏なのは石川啄木のせいで、啄木を石川五右衛門の弟かと思っていた、と国語学者の故金田一春彦が「わが青春の記」に書いている。
  • 貧窮と遊蕩、矜持と失意。葛藤の中から、広く愛誦される歌を紡ぎ出した。「安っぽいセンチメンタリズム」との批判もあるが、名前を聞いて、たちどころに三首、四首と思い浮かぶ歌人は啄木を置いてそうはいない。
  • 歌詠みとは別の顔もある。大逆事件の裁判の渦中に著した評論「時代閉塞の現状」は、国家や権力を敵と位置づけ、青年に現状打破を呼びかけた、当時としては過激な内容だった。閉塞状況の出口が見えない昨今、若い世代を中心に読み直されているという。(L)

(2012-04-12 四国新聞