〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

震災・原発すぐ反応〈回顧2011・演劇〉

  • 東日本大震災は演劇に多大な影響を与えた。多くの公演が一時休演や中止に追い込まれたばかりではない。映画などに比べて、制作が“身軽な”メディアである利点を生かし、震災と原発事故に触発された舞台もまた多数作られた。
  • 劇作家の活躍も目立った。と言ってもその筆頭は昨年没した井上ひさしこまつ座が「化粧」(鵜山仁演出)、「父と暮せば」(同)、「日本人のへそ」(栗山民也演出)、「キネマの天地」(同)を再演。蜷川幸雄演出の「たいこどんどん」では中村橋之助が優男を、新国立劇場「雨」(栗山演出)では市川亀治郎が自己を失う男を好演した。段田安則演出「泣き虫なまいき石川啄木」など、多くは新演出によるもので、笑いとペーソスのドラマに新たな命が吹き込まれた。この流れは来年も続きそうだ。

(2011-12-17 朝日新聞>エンタメ)