4.「忘れがたき人人」を読む
・河野有時 氏
潮かをる北の浜辺の 砂山のかの浜薔薇よ 今年も咲けるや
この歌は、結句「今年も咲けるや」に回想している現在の姿が映し出されることでよく知られる。回想される過去は「かつてあったが今はない」か、「今はないがかつてあった」か、そのどちらに比重がかかっているか、重心の取り方が回想歌の魅力だといっておきたい。
5.編集意識から「手套を脱ぐ時」を読む
・大室精一 氏
手套を脱ぐ手ふと休む/何やらむ/こころかすめし思ひ出のあり
この歌がこの章の内容を極めて絶妙に表現している。この歌がもともと啄木の歌の中でどう変化していったか。
・東京毎日新聞(明治43年4月8日)柿の色づく頃
褐色の皮の手袋脱ぐ時にふと君が手を思ひ出にけり
「君」は橘智恵子のことをイメージして発想された。
つづきはこちら→レポ「国際啄木学会」(更新した部分はページの下方です)