2010-08-30 啄木の無念さを、牧水の筆のなかから『文学フシギ帖』 啄木 広場 [あききぬと…] 『文学フシギ帖』=池内紀・著 今週の本棚:村上陽一郎・評 森鴎外から村上春樹まで、日本近代の五十三人の作家を、新書で扱う。 啄木の項では、新聞記者でもあった若山牧水と、文芸雑誌を刊行するという夢を共有しながら夭折する啄木の無念さを、牧水の筆のなかから、きっちりと描き出す。両者の夢こそ「明治の青春の最後の美しい一コマだった」という結びは、著者には珍しい直球の表現として際立つ。 『文学フシギ帖』=池内紀・著 岩波新書 756円) (2010-08-29 毎日新聞 東京朝刊)