〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

『誰もが幸せになる 1日3時間しか働かない国』


【オトギリソウ】


『誰もが幸せになる 1日3時間しか働かない国』

  • シルヴァーノ・アゴスティ 著 野村雅夫 訳 マガジンハウス
  • 2008年 1200円+税


架空の国「キルギシア」に滞在している主人公が、ふるさとの友人へ手紙を書くという形で話が進む。

「キルギシアでは1日3時間以上働く人はいない。あとは全て自分の自由に使っているんだ」
……? …… ムリ! と、思いながら読み進めた。

「充実している人っていうのは、嫌々やっている人がやっと1週間かけてできる以上のことを、たった一日でできてしまう」

「学ぶということはかけがえのない楽しみであるのに対して、勉強というのはしばしばストレスや不安や病気の元になってしまう」

「広告をやめればものの値段は全部半額になる」

病気が無くなる、犯罪が減る、従って医療にかかる費用が減り警察も不要に近くなる。
ユートピアではあるが、「実は、みんなキルギシアで暮らしているんだぞ!」と気づかせてくれる。「自分のまわりにキルギシアを建国してみよう」と思える人のまわりには、小さな小さなキルギシアができるのではないか。


「キルギシアでは、人生は一度しかないんだということを忘れないようにしなくちゃならないんだ。それがみんなの一番の義務なんだよ」

かわいらしい装幀と挿絵も、ふんわりした気持ちにさせてくれる。