〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「野口雨情そして啄木」井上信興 著

【表紙】


「野口雨情そして啄木」を読む -「啄木の息」管理者

  • 井上信興 著 渓水社
  • 1800円+税 2008年7月1日発行

雨情の生涯と童謡「青い眼の人形」「赤い靴」の解説、札幌・小樽時代の石川啄木との交流から見えてくる雨情の人物像にせまる。(渓水社・新刊書籍案内より)

目次

      • はしがきに代えて—論考解説—

【論考】

      • 「野口雨情」断章
      • 啄木と野口雨情
      • 童謡「青い眼の人形」と「赤い靴」
      • 啄木と函館
      • 小説「漂泊」の原風景は「住吉海岸」と「新川河口」のどちらが正解か
      • 我が愛唱歌集『一握の砂より』

【書評】

      • 三枝昴之氏の「東海歌」について
      • 「東海歌」に関する「三枝説」と「李説」
      • 西脇巽著『石川啄木東海歌二重歌格論』
      • あとがき


[本文より] 啄木が野口雨情に初めて会った時の、この二人の記述はまったく違っている。

    • 啄木の記述「野口雨情君と初めて逢へり。温厚にして丁寧、…見るからに内気なる人なり。…………」(明治40年9月23日の日記)
    • 雨情の記述「啄木は赤く日に焼けたカンカン帽を手に持って、洗い晒しの浴衣に色のさめかかったよれよれの絹の黒っぽい夏羽織を着てはいって来た。…………」(「札幌時代の石川啄木」三十数年後に書かれたもの)


「啄木と雨情のどちらかが虚偽の記述をした」「どちらの記述が信用出来るかといえば……」と続いて、大変興味深い。
86歳になられる著者の鋭い文章は、読んでいると身が引き締まってくる。