〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「啄木の短歌、賢治の短歌 第38回」


キスゲ

「啄木の短歌、賢治の短歌」盛岡タイムス連載中

  盛岡大学長 望月善次

第38回 比喩1 〜のごとく

  • 啄木の短歌

  誰が見ても
  われをなつかしくなるごとき
  長き手紙を書きたき夕

  • 賢治の短歌

  この坂は霧のなかより
  おほいなる
  舌のごとくにあらはれにけり
 

    • 啄木の「ごとく」は、抽出歌の「誰が見てもわれをなつかしくなるごとき」のように「ごとき」に掛かる言葉が長いことが一つの特徴になっている。
    • 賢治の場合は、「神田」と題された一首。「おほいなる/舌のごとくにあらはれにけり」だけを見ても、あなどり難い「比喩」の力を示している。

(2008-07-01 盛岡タイムス)