[スカイツリーの……]
「編集手帳」 読売新聞
- のちに言語学者となる金田一京助が盛岡中学を卒業するとき、友人たちが短歌会を催した。『水』という題に石川啄木が詠んだ歌がある。〈あめつちの酸素の神の恋成りて水素は終に水となりにけり〉。
- 化学式に想を得た一首に、座は沸いたにちがいない。啄木の機知を借りて言えば、これも酸素の神と水素の神による“恋愛成就”の賜物だろう。空気中の酸素に燃料の水素を反応させて走ることから排ガスの出ない未来のクルマ、燃料電池車である。
- 先月、話題の燃料電池車「MIRAI(ミライ)」を世界に先駆けて日本で一般向けに発売したばかりのトヨタ自動車が、またひとつ決断をしたらしい。
- 関連する特許約5680件をすべて開放し、ライバル他社に無償で提供するという。
(2015-01-07 読売新聞)
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