〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「高知に啄木の父・一禎の歌碑を」支局長からの手紙


【終焉の地の標示 所長官舎跡】


支局長からの手紙/高知
「95歳の執念実る時」

  • 石川啄木の父一禎(いってい)は晩年の2年余を高知市で過ごし、昭和2(1927)年に76歳で亡くなりました。
  • 95歳の岩崎巌松さんは一禎の足跡に並々ならぬ関心を持っている国鉄OBです。今月9日の「悲しき異郷の路」を読んで、自著を持って支局を訪ねられました。耳や足腰にお年を感じましたが、驚くほどお元気です。
  • 一禎は高知駅近くにあった、庭や池付きの所長官舎で息を引き取ったようです。岩崎さんはその3年後に国鉄の前身の鉄道省に入りました。17歳の時、鉄道教習所の国語読本で啄木と出会い、豊かな詩情に心酔しました。一禎にも関心を持ち、「『出歩くのを見たか』と先輩に聞いて回った。歌などを作って静かな様子だったようだ」と振り返ります。
  • 高知県歌人協会が1992年に標柱「石川一禎終焉の地」を建てる際、駅前再開発を見込み、「標柱は木製の簡単なものになった」と明かします。
  • 3年後に啄木没後100年を控え、盛岡では啄木ゆかりの地を巡るツアーも検討しています。高知もユニークな候補地の一つです。
  • 撤去されて行き場がない標柱の再設置ではなく、歌碑の新設を切望します。

【高知支局長・大澤重人】
(2009-03-30 毎日新聞 地域ニュース 高知)