歌に見る啄木の苦楽
東京 ロバート・キャンベルさん講座
【東京支社】盛岡市出身の歌人石川啄木の終焉の地がある東京都文京区の文京シビックホールで「啄木学級 文の京講座」が開かれ、日本文学研究者のロバート・キャンベルさんが「石川啄木—苦楽の境を行き交う詩人」と題して講演した。
- キャンベルさんは啄木の歌集「一握の砂」の作品を紹介。
「はたらけど/はたらけど猶わが生活楽にならざり/ぢっと手を見る」
「たはむれに母を背負ひて/そのあまり軽きに泣きて/三歩あゆまず」
- これらを「苦楽の間合いを描く中で、啄木はなかなか楽な方に行かない」と分析した。
- 26歳で生涯を閉じた啄木の作品を「苦だけでなく、懐かしさ、いとおしさ、つらさがマーブル状になっている心境を歌った歌の中に、希望とか絆とか必ずしも明るいものではないが、楽という一つの思想、世界観が彼の表現を支えている」と推察した。
- 後半は石川啄木記念館(盛岡市)の森義真館長と対談し、自ら出演した盛岡文士劇の裏話などを披露した。
(2023-07-15 岩手日報)