〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「血に染めし歌」の「さすらい」というのは その時の啄木の心境を表す言葉であった

ルピナス

【短歌のこと】

石川啄木

血に染めし歌をわが世のなごりにてさすらいここに野にさけぶ秋 石川啄木【日めくり短歌】

  • 短歌雑誌「明星」に初めて掲載された石川啄木の短歌です。石川啄木が短歌を投稿していたのは、与謝野鉄幹主宰の「明星」でした。明治35年のことでした。
  • この年、啄木は学期末試験でカンニングが発覚、出席日数も足りなかったため、学校に居場所を失ったつらい時期でした。
  • 「血に染めし歌」というのは、明星好みの派手な表現ですが、「さすらい」というのは、まさにその時の啄木の心境を表す言葉であったのでしょう。

(2023-06-05 短歌のこと)

 

血に染めし歌をわが世のなごりにてさすらいここに野にさけぶ秋 石川啄木【日めくり短歌】