有名短歌の解説
【かの時に言ひそびれたる大切の言葉は今も胸に残れど】徹底解説!!意味や表現技法・句切れ・鑑賞文など
1 「かの時に言ひそびれたる大切の言葉は今も胸に残れど」の詳細を解説!
2 「かの時に言ひそびれたる大切の言葉は今も胸に残れど」の句切れと表現技法
3 「かの時に言ひそびれたる大切の言葉は今も胸に残れど」が詠まれた背景
- この歌が詠まれたとき、石川啄木には一途に想ってくれる妻がいましたが、この歌での「君」は妻とは別の女性です。彼女が啄木と関わった期間はわずか3ヶ月でしたが、啄木の歌集『一握の砂』には、彼女のことを詠んだ歌が22首あります。この歌での「君」は、啄木が北海道で代用教員をしていたころの同僚「橘智恵子(たちばな ちえこ)」だと言われています。
- 歌集『一握の砂』を刊行したときには、歌集とともに手紙を智恵子へ送りました。そこには「君もそれとは心付給ひつらん」…「君もそうだと(恋の歌が自分たちのことだと)気付いていらっしゃるでしょう」といったことを書いていました。
- そのとき彼女はすでに結婚していましたが、智恵子からの返事には『お嫁には来ましたけれども心はもとのまんまの智恵子ですから』と書かれており、智恵子も少なからず啄木に好意をもっていたのではないかと言われています。
4 「かの時に言ひそびれたる大切の言葉は今も胸に残れど」の鑑賞
- 「言わなかった」のか、「言えなかった」のかは分かりませんが、伝えられなかった言葉は今もずっと胸の中に残って消えません。伝えられなかったからこそ、忘れることができずに、ずっと疼いてしまうのでしょうか。「残っているけれど…」と言い切らずに終わっているところが、より一層切なさや虚しさを醸し出しています。
- 啄木は恋愛の場面においてこの歌を詠みました。しかし、それに限らず家族や友人に、偶然出会ったあの人に…。「言ひそびれたる大切の言葉」は、それぞれの人の胸にあるのかもしれません。
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(2022-07-16 短歌の教科書)
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