〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

 しんとして幅広き街の秋の夜の玉蜀黍の焼くるにほいよ…啄木


[アキアカネ]


(経済気象台)とうきびワゴン今昔

  • 4月下旬から10月末まで、札幌・大通公園に「とうきびワゴン」と呼ばれる屋台が出る。北海道産のトウモロコシを、焼き・ゆでの2種類の方法で調理してくれる。ワゴンの周りで観光客が豪快にかぶりつく姿は大通公園の夏の風物詩だ。道内での収穫期を迎え、扱うとうきびが間もなく冷凍から生に切り替わる。甘さ、プリッとした歯ごたえはもぎたてに勝るものはなく、今から待ち遠しい。
  • とうきびは150年前、開拓使によりアメリカから持ち込まれ、明治の中ごろには街角に屋台が出ていたといわれる。
  • 1907年に札幌に滞在した石川啄木が詠んだ歌が、大通公園の碑に刻まれている。

 「しんとして幅広き街の秋の夜の玉蜀黍(たうもろこし)の焼くるにほいよ」

  • 啄木は、街の広大さと、とうきびの香ばしいにおいに、旅情をかきたてられたに違いない。
  • 屋台は次第に増え、67年以降は衛生上の観点から札幌観光協会の下で一括運営されている。それから半世紀余り、「とうきびワゴン」は札幌の顔になった。

(2018-07-21 朝日新聞


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