啄木と牧水 -上-
国際啄木学会 2018年宮崎大会
国際啄木学会(会長・池田功明治大教授)の宮崎大会は12、13の両日、宮崎市の宮崎産業経営大で開かれた。「牧水と啄木 ---短歌と人をめぐって」をテーマに石川啄木(1886〜1912年)とその最期を見届けた友人若山牧水(1885〜1928年)の近代短歌史における位置づけや人物像を探った。(学芸部・村田英)
〇 鼎談
伊藤一彦さん(若山牧水研究会会長)、三枝昻之さん(日本歌人クラブ会長)、司会の太田登さん(天理大学名誉教授)が、「近代短歌史における牧水と啄木」について意見を交わした。
- 三枝さんは「啄木に岩手山、北上川があるように歌人には自分の山か川がある」と創作における風土の存在の大きさを強調した。
- 伊藤さんは、上京し文学の道に進んだ牧水が父危篤の報で帰郷した際に詠んだ「ふるさとの尾鈴のやまのかなしさよ秋もかすみのたなびきてをり」を引用。「『かなし』に故郷への愛憎が出ている」と複雑な思いを読み取った。
- 太田さんは「(牧水文学の特徴である)『あくがれ』とは魂のさすらい。啄木も牧水も漂泊者の魂が共通している」とまとめた。
(2018-05-17 岩手日報)
(つづく)