〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

 啄木「どうか壊れた時計にはなってくれるな」18歳 初の政権選択選挙を考える


[カツラ]


「卓上四季 壊れた時計」[北海道新聞]

  • 北海道にもゆかりの深い石川啄木は、母校の盛岡中学(現・盛岡一高)の校友会雑誌に寄せた「林中書」で、後輩にこんなメッセージを贈っている。「どうか(漫然と毎日を過ごす)壊れた時計にはなってくれるな」と。そして「百科全書的な下らぬ勉強」より、「何か人生に些少(さしょう)なりとも影響を与えるような考えを起(おこ)してくれ」と呼び掛ける。作品が評価されず、仕方なく代用教員をしていた1907年(明治40年)のことだ。
  • 悶々(もんもん)とした思いから生まれた言葉なのか。「壊れた時計」になるなとの訴えは、現代にも通じるように思う。
  • 衆院解散の公算が大きくなってきた。加計(かけ)、森友学園問題や陸自の日報隠蔽(いんぺい)問題はどうなるのか、「大義なき解散」と言われても仕方あるまい。
  • ただ、選挙になるなら若者たちにも大きな関心を持ってほしい。18歳選挙権が導入され1年余。初の政権選択選挙だ。面倒くさいかもしれないが、それをやめたら「壊れた時計」になってしまう。わずか1票で社会が変わるわけではない。だが、社会を変えるにはそれぞれの1票が必要なのだ。一生懸命考えてみてほしい。

(2017-09-20 北海道新聞


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