〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

< ふるさとの訛なつかし/石川啄木 < ふるさとの訛りなくせし/寺山修司


[ムクロジ]


◎余録 < 毎日新聞
古里の方言が懐かしくなるころかもしれない…

  • 古里の方言が懐かしくなるころかもしれない。年末年始に久しぶりに帰省する人も多い。岩手県から上京した石川啄木(いしかわたくぼく)が古里なまりを聞きたいと駅に行く。その気持ちは地方出身者にはよく分かる。JR上野駅のホームには、かの有名な歌の碑がある。<ふるさとの訛(なまり)なつかし停車場の……>。
  • NHKドラマ「あまちゃん」の影響もあるのか、若者の間で方言がよく使われているらしい。東日本大震災で被災者は「がんばっぺし」の言葉に励まされた。方言は懐かしいだけでなく、心を動かす力がある。
  • 方言で話すのが恥ずかしく、ためらうことがある。けれど忘れてしまうのは寂しい。<ふるさとの訛りなくせし友といてモカ珈琲(コーヒー)はかくまでにがし>。啄木と同じ東北生まれの劇作家・歌人寺山修司(てらやましゅうじ)の作品だ。彼は生涯、なまりが抜けなかった。

(2016-12-19 毎日新聞 東京朝刊)記事