[ムクロジ]
◎余録 < 毎日新聞
古里の方言が懐かしくなるころかもしれない…
- 古里の方言が懐かしくなるころかもしれない。年末年始に久しぶりに帰省する人も多い。岩手県から上京した石川啄木(いしかわたくぼく)が古里なまりを聞きたいと駅に行く。その気持ちは地方出身者にはよく分かる。JR上野駅のホームには、かの有名な歌の碑がある。<ふるさとの訛(なまり)なつかし停車場の……>。
- 方言で話すのが恥ずかしく、ためらうことがある。けれど忘れてしまうのは寂しい。<ふるさとの訛りなくせし友といてモカ珈琲(コーヒー)はかくまでにがし>。啄木と同じ東北生まれの劇作家・歌人の寺山修司(てらやましゅうじ)の作品だ。彼は生涯、なまりが抜けなかった。