〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「妻の家出で啄木は狼狽」世田谷文学館講座

◎「啄木と女性」世田谷文学館講座
  節子の存在の大きさ指摘

  • 世田谷文学館友の会(平出洸会長)主催の講座は、東京都世田谷文学館でこのほど開かれ、国際啄木学会理事で明治大兼任講師の西連寺成子さんが「生誕130年 石川啄木と女性〜恋愛・結婚・家族〜」と題して講演。女性たちが啄木に与えた影響を探った。
  • 啄木は数え年14歳ごろから堀合節子と恋愛し19歳で結婚する。西蓮寺さんは「啄木は恋愛と結婚、性を一体化させて『ロマンチックラブ』の信奉者だった」とした。しかし、恋愛は必ずさめるもので、性的欲望は恋愛感情を抜きにして遂げたいという考えを友人宛ての手紙に書くこともあった。
  • 1909(明治42)年10月、節子は家出する。西蓮寺さんは「そばにいて当然だと思っていた妻が家出したことで啄木は狼狽し、節子が予定調和的な存在でないことに気付いた」「その気づきが実感を伴うからこそ、啄木の言葉、主張は血が通ったものになりえたのではないか」と節子の存在の大きさを指摘した。

(2016-07-06 岩手日報 東京支社)