〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

幸徳秋水の反戦・平民主義に啄木は強く心を動かされた…


[アジサイ]


啄木共感 秋水の思想とは
  高知市セミナー 大逆事件めぐり議論

  • 石川啄木(1886〜1912年)の研究者や愛好家による国際啄木学会のセミナーが高知市の県立文学館でこのほど開かれた。
  • 大逆事件は明治43(1910)年に起きた。幸徳秋水ら数百人が大逆罪のかどで検挙され、秋水を含む12人が処刑された。
  • セミナーで近藤典彦・元群馬大学教授は「秋水は一人でも救おうと、裁判で自分の弁護は全くしなかった。しかし大逆事件に至る思想は最後まで確固たるものがあった」と指摘。秋水の徹底した反戦、平民主義は命を懸けた戦いであり、啄木は強く心を動かされて作品にも反映されたとする。
  • シンポジウムで高知ペンクラブの高橋正会長は「大逆事件は権力側が、その思想を裁いたものであり、私は秋水はえん罪だと考えている」と話した。
  • また田口道昭立命館大学教授は「秋水は資本主義の矛盾に対する批判から、反天皇制や非戦を訴えた。言論の自由を守るための戦いでもあった。それは啄木も同じ気持ちだったが、距離も置いていたのでは」と指摘した。
  • 近藤氏は「今後は制度としての天皇制や秋水自身の天皇像を明らかにしていかなければならない」とし、秋水が投げ掛けた問題は複雑で根深いと話した。(竹内 一)

(2016-07-01 高知新聞