きょうのコラム『時鐘』 北國新聞
- 以前に高校球児の練習を取材して、不思議な掛け声を教わった。ランニング中に、1人が「空に吸われし」と声を掛け、全員が「十五の心」と声を合わせる。野球部伝統の掛け声かと尋ねたら、「啄木の歌です」。「不来方のお城の草に寝ころびて」と歌い出し、掛け声の「空に吸われし15の心」と続く。「不来方の城」は、石川啄木ゆかりの盛岡の城。珍しい掛け声は、文学好きの球児の発案か、それとも国語の教師に教わったか。
- 啄木みたいに授業をサボり、草に寝転ぶには格好の季節である。サボらなくても、休日のひととき、クローバーの群れの中に寝そべれば、心が広々としてくる。いろんな思いが、吸われるように空に向かう。
(2016-05-05 北國新聞)
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