〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

<新しき明日の来るを信ず…> 石川啄木 


[河津桜]


鳴潮 -徳島新聞-

  • 都へ、都へ。東京へ行きさえすれば何とかなる。明治の歌人石川啄木もそう思っていたに違いない。こんな一首を残している。<新しき明日の来るを信ずといふ自分の言葉に嘘はなけれど−>。
  • 都を目指したかつての若者たち。幸福研究などで知られる広井良典さんはこれを「地域からの離陸」と呼ぶ。それも転換期に差し掛かっている。徳島県民の「幸福度」を探る本紙アンケートを分析してくれた 2 年前、そう指摘していた。実際、自分の教え子たちもローカル志向が顕著になってきたという。
  • きのう、県内の多くの企業で入社式があった。東京への流れに抗し、徳島で働こうという若い人たち。広井さんの言を借りれば「地域への着陸」である。そんな姿は頼もしく映る。
  • これからの時代の豊かさや幸福感をいかにして得るか。「新しき明日」と密接につながっているだろう。啄木は望み通りにはいかなかったが、今春の新入社員は、さて、どんな未来を切り開く。

(2016-04-02 徳島新聞

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