〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「啄木 その非凡な生涯」 キーンさん啄木を語る

ドナルド・キーンさんが評伝
 「啄木 その非凡な生涯」独自の視点で迫る

  • 日本文学研究者のドナルド・キーンさん(米コロンビア大名誉教授)は、評伝「石川啄木」(新潮社)を出版した。約70年前に英訳を読み、最初の日本語での論文のテーマでもあった啄木。長年深い関心を抱き続けた「最初の現代日本人」の生涯を、独自の視点でまとめ上げた。キーンさんは「この本を読んで若い人が啄木を読んでくれたら」と期待する。
  • 「啄木の詩歌は時に難解だが、啄木の歌、啄木の批評、そして啄木の日記を読むことは、単なる暇つぶしとは違う。これらの作品が我々の前に描き出して見せるのは一人の非凡な人物で、時に破廉恥ではあっても常に我々を夢中にさせ、ついには我々にとって忘れ難い人物となる」。最終章の終わりで、キーンさんは啄木への思いをつづった。
  • 人間啄木については「ほかの人が知らないことをいろいろ知っている、面白い人。酒を飲みながら話すことは楽しいと思う」としながらも「友達にはなれないと思う。でも、頼まれたらお金は貸したでしょう」と笑う。

(2016-03-08 岩手日報

石川啄木 ドナルド・キーン/著  角地幸男/訳

  • 新潮社 2200+税  発売 2016年2月

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