〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「啄木・賢治」のサルをモチーフにした作品と好きな飲み物


[フヨウ]


◎「啄木と賢治」
人間の在り方問い掛け

今年は石川啄木生誕130年、宮沢賢治生誕120年の節目。2人はそれぞれ、今年のえとであるサルをモチーフにした作品を残している。


石川啄木
 自然に背く姿へ警鐘

  • 啄木が1907(明治40)年、母校である盛岡中学校の校友会雑誌に寄せた寓話「林中の譚」は、人間とサルとの問答形式。
  • サルは人間が文明の進歩により手で立てなくなり、足で物をつかめなくなったと指摘。「木を倒し、山を削り、川を埋めて、平らな道路を作って来た」と人間の自然破壊を示し、その道は天国ではなく「地獄の門に行く」と警鐘を鳴らす。

宮沢賢治
 少年の不思議な体験

  • 楢夫という少年がクリの古木に見つけた小さなサルノコシカケを介して繰り広げられる不思議な夢の物語。1921(大正10)年ごろの執筆とされる。
  • 楢夫は、サルノコシカケに現れた小ザルたちをその小ささから見下すが、小ザルたちの知恵と団結で痛い目に遭わされそうになり、山男に助けられる。


ビール愛した啄木 サイダー好き賢治

  • 啄木はわずか14歳の時にビールを飲んだという記録がある(当時は未成年の飲酒は法律で禁止されていなかった)。場所は盛岡中学校(現盛岡一高)の旅行で訪れた大船渡。同行した級友の一人が、ともにビールを飲んだことを日記に書き残している。
  • 「賢治さんが一杯飲みましょうかと誘うのは、お酒ではなくサイダーで、天ぷらそばと一緒に注文するのが常でした」という、花巻市のやぶ屋の創業者家族の証言がある。

(2016-01-01 岩手日報

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