〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

石川啄木「痛む歯をおさへつつ……」


[マユミ]


風土計  《岩手日報

  • 石川啄木の歌集にこんな一首がある。「痛む歯をおさへつつ、/日が赤々と/冬の靄(もや)の中にのぼるを見たり。」
  • 歯の痛みをこらえながらも朝日の美しさを眺めたという内容。評釈本によると、窮迫する生活の中にも、美しさをめでる心の余裕があることを示しているのだという。借金生活に苦しむ中で創作を重ねた啄木らしい作品だ。
  • 小学生の約5割、中学生の約7割が虫歯などを放置している−。県保険医協会が県内小中学校を対象に行った調査の結果が報じられた。子どもが受診しないのは、親の歯科保健意識の低さ、仕事や家庭環境、経済的な理由などがあるという。貧困問題も潜んでいそうだ。
  • 幸いにも歯科医は十分にいる時代になっている。「痛む歯をおさへつつ」という状態を解消しつつ、心に余裕を持つのがいい。

(2015-10-24 岩手日報

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