郷土の本棚
『石川啄木と宮沢賢治の人間学』佐藤竜一 著
比べて迫る等身大の魅力
- 本県文学界の二大巨星である石川啄木と宮沢賢治。どちらが好きかという犬猫論争ではないが、岩手県民であれば、自分が“啄木派”なのか“賢治派”なのか、多少なりとも意識したことがあるのではないか。
- 著者は“賢治派”の人。執筆の動機を「2人を比べることで、それぞれが鮮明に見えてくる部分があるのではないか」と説明する。
- 著者が「大酒飲みといってよいかもしれない」と記す啄木は、盛岡中学3年時の三陸方面への旅行で、既にビールに親しんでいた。この時なんと満14歳。「もっとも、当時は未成年が飲酒することは法律で禁止されていない」と補足する。
- 一方「酒はつきあいで仕方なく飲むもの、だったと推測される」という賢治は、花巻のやぶ屋でそばと酒、ならぬサイダーという意外な取り合わせを注文するのが常だった。
- 来年の啄木生誕130年、賢治生誕120年の節目を控えた時機を捉え、2人の等身大の魅力を追った。
(2015-05-17 岩手日報)
────────────────────────────────────
『石川啄木と宮沢賢治の人間学』
ビールを飲む啄木×サイダーを飲む賢治
- 著者 佐藤竜一
- 出版社 日本地域社会研究所
- 2015年5月発売 1728円(税込)
────────────────────────────────────