- 東京駅の雑踏の中、トレーを持った若い女性に、試食の菓子を勧められた。「ん、おいしい」とつぶやくと「もしかして、津軽からお越しでは。私、弘前なのでとても懐かしく感じます」。女性は20歳前後だろうか。イントネーションで察して声を掛けてくれたらしい。つがる市の川柳作家濱山哲也さんが教えてくれた。都会で懸命に働く若者の姿に、胸を打たれたという。
- 岩手県出身の歌人石川啄木の有名な歌を思い出す。<ふるさとの訛(なまり)なつかし/停車場の人ごみの中に/そを聴きにゆく>。古里を思いながら帰ることができない。都会の言葉にもなじめない。つい古里の訛りの聞こえそうな停車場へ足を向けた感傷が流れる。
- 最後に冒頭の濱山さんの一句を。<津軽弁これが私の本籍地>
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