〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

よしもとばなな流46この幸福論。“どんな境遇にあっても、幸せを数える方法”

  • 人は、つい幸せな時とそうじゃない時があると思いがちだ。「友が皆 我より偉く見ゆる日よ 花を買ひ来て妻と親しむ」と詠んだのは石川啄木だけれど、逆境にあってこそしみじみと感じられる幸せもある。
  • よしもとばななさんのエッセイ『小さな幸せ46こ』(中央公論新社)で描かれているのも、大人になった今だからこそ気づく幸せ、若い頃だったら、もしかしたら気づかずに通り過ぎていたかも知れない、ささやかでかけがえのない幸せだ。
  • どんな幸せも、本当は期間限定。今だけ、あの時だけ、あの一瞬だけそこにあって、消えてしまう。はかないけれど、だからこそ、こんなにもいとおしい。そういう時間を繰り返しながら、私たちは生きているということ。ぼろぼろでも、よれよれでも、そんな今の自分を「幸せ」と呼ぶ気持ちを、この本は教えてくれる。(文=瀧晴巳)

(2015-03-07 ダ・ヴィンチニュース)

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