〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

啄木のように「ふるさとの訛りなつかし」と、駅に行っても…

天地人 東奥日報

  • 詩人の高木恭造さんのお話を伺うため、弘前市の眼科医院を兼ねた自宅を訪ねたのは28年前だった。「方言詩は、ギター、三味線、バレエ曲など、どんな音楽にも合う」と津軽弁の音楽性について教えていただいた。
  • 高木さんのことを思い出したのは、本紙に先日載った「平和の日」青森の集いの連載で、詩人のアーサー・ビナードさんの話が興味深かったからだ。
  • 集いで作家の浅田次郎さんは「東北弁を耳にした時、音楽のようだと思った。フランス語のようにも聞こえる」と語った。これも高木さんの話に相通じる。一方で、浅田さんは「方言が失われると日本中が新幹線の駅のように(同じに)なってしまう」と心配していた。
  • 寝台特急「あけぼの」が定期運行を終え、上野−青森間の夜行列車が消えた。昭和が一気に遠のいた感がある。石川啄木のように「ふるさとの訛(なま)りなつかし」と、駅に行っても方言を耳にする機会はまれになるのだろう。

(2014-03-23 東奥日報天地人