卓上四季

忘れない　　北海道新聞

• かつて新聞記者でもあった歌人の夫に、妻がぽつりとつぶやいた。＜あなたは勝つものとおもつてゐましたかと老いたる妻のさびしげにいふ＞。石川啄木との深い親交でも知られる土岐善麿の代表歌。この歌は、戦後間もない昭和21年（1946年）作と聞くと、どの家庭の食卓や居間でも交わされたであろう何げない言葉の連なりが胸に迫る。
• ＜あなたは汚染水がコントロールされていると思っていましたか＞。そんな会話が交わされる日は迎えたくない。

（2014-02-05　北海道新聞＞卓上四季）