〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「知識」に憧れた少年時代 気象学を志した理由

研究と本とわたし 著者・コラム紹介
○住明正氏(気象学・気象力学・独立行政法人国立環境研究所理事長)
○中田正則 (フリーライター
「大学時代で印象に残っている本はどんなものがあるでしょうか?」
住氏:石川啄木の『ローマ字日記』(岩波文庫)。啄木が23歳で家族を残して上京して生活していたときの日記が1冊にまとめられたもの。学生時代って、先のことが何もわからないからものすごく不安だし、一方でいろんな可能性がある。その葛藤の中で心が乱れ、もがき苦しむわけです。この本を読んで、同じように苦しんで葛藤している啄木の姿に共感を覚えました。結局、自分はいかに生きるべきか、ということがこの頃の最大のテーマだったのです。
(2013-08-26 WEDGE Infinity)