〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

きょうは「母の日」 たはむれに母を背負ひて…


[クヌギ]


《卓上四季》
母の存在

  • 石川啄木が24歳で出した初の歌集「一握の砂」には、今なお人々の心を打つ歌がたくさんある。<たはむれに母を背負ひて/そのあまり軽(かろ)きに泣きて/三歩あゆまず>もその一つだ。
  • 息子を溺愛した母だ。啄木が丈夫に育つことを願い、卵と肉を断ったという。啄木にとって、大きく重い存在だったに違いない。いたずら半分で母を背負い気づいた体の軽さ。その落差に啄木は衝撃を受け、立ちすくんでしまった。
  • 母子の数だけ、それぞれに思いはあるはずだ。でも、自分が今あるのは母のおかげにほかならない。きょうは「母の日」。伝えたい。「ありがとう」の一言を。

(2013-05-12 北海道新聞