東京で石川啄木WEEK
歌集の魅力、人物像に迫る 関連書籍の著者が講演
東京・八重洲の八重洲ブックセンターで開かれている「石川啄木WEEK」は、啄木の新たな魅力に触れる企画。講演と展覧会の模様を紹介する。
- 元国際啄木学会会長の近藤典彦さんは歌集「一握の砂」の魅力について講演した。2008年に編者として「一握の砂」(朝日文庫)を刊行。常に「夢見る人」だった啄木。借金などで周囲に迷惑を掛けたが、妻節子の家出を契機に大きく変わった。「啄木は常に希望を持っていた人。苦労の中から生み出された苦しみや悲しみの歌の中に、現実をふまえて理想を求めた人柄が表れている」と魅力の秘密を語った。
- 先月出版した「啄木の親友 小林茂雄」(盛岡出版コミュニティー)の著者、森義真さん(近代文学研究家、盛岡市)は啄木の交友について講演。「交友の多彩さは手紙の多さにつながっている。宮沢賢治の場合は父と親友への手紙がほとんど。啄木の方が幅広い」と人を引きつける力や人を離さない会話の魅力を持っていたことを指摘した。「一握の砂」の献辞に登場する友人の宮崎郁雨、金田一京助を例に挙げて幅広い交友の秘密に迫った。
(2012-12-19 岩手日報)