小社会
- 「驚くべきは現時の文明国における多数人の貧乏である」。京都大学教授の河上肇がこんな書き出しで「貧乏物語」を新聞に連載しだしたのは、1916(大正 5)年のきょう 9月11日。
- 石川啄木の歌〈はたらけど はたらけど猶(なほ)わが生活(くらし)楽にならざり ぢつと手を見る〉を引用したかと思うと、古今東西の経済学説を分析。「物語」と題しながら、内容は論文に近い。将来を予見したような記述もある。
- たとえ解決策は示せなかったとしても、貧困を「社会の大病」だと見抜いた目は今も鋭く光る。
(2012-09-11 高知新聞)