[チゴザサ]
○ 私見公論41
ふるさと(4)/渡久山 春英
「ふるさとに入りて先ず心傷むかな 道広くなり 橋もあたらし」
- わかりやすい石川啄木の歌である。その通りだと思う。だれにもふるさとはある。そして、だれも啄木のような心境を経験している。啄木は久しぶりに帰省してふるさとの変容に傷心したことを反省している。昔のままのふるさとではなかった。道路も橋も目を疑うほどに立派になっていた。喜びと同時に一度も帰省しなかった自責の念にかられ、ふるさとを守っている人たちに感謝さえしたのであった。道路と橋とトンネルは地域活性化の大動脈である。今も昔も同じだ。山また山、川また川の地勢ならなおさらであろう。
(2012-08-03 宮古毎日新聞>私見公論)