〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

上野駅の啄木歌碑のこと

啄木文学散歩・もくじ


JR上野駅15番ホーム車止め前にある啄木碑

写真の左側が15番ホーム(高崎線など)、右が16番ホーム(常磐線など)。

[1985年(昭和60)3月14日、東北新幹線上野乗り入れが実現した。これを記念して、同年3月19日に建立。歌碑は直径120cm、厚さ30cmの円形で鋳鉄製。(『啄木文学碑紀行』浅沼秀政 著)]



建立したのは…

丸い台座の左スミに小さい楕円のプレートが写っている。そこには「東京北ロータリークラブ」と書いてある。(このあとの YouTube では大きめに写る)

[同ロータリークラブが昭和55年に三十周年を迎えたのを契機として建立計画を進めた。「新幹線が上野と東北を物理的に結ぶなら、啄木の歌碑は上野と東北の人々の心をつないでほしい」との願いがこめられている。(『啄木文学碑紀行』浅沼秀政 著)]




   ふるさとの訛なつかし
   停車場の人ごみの中に
   そを聴きにゆく
          啄木

    『一握の砂』1910 (明治 43) 刊行



◎ 移動中の歌碑を目撃!

啄木歌碑、移動中 <2001年1月24日撮影>

2001年1月24日、石川啄木の歌碑を訪ねたが、“いつもの場所”に無かった。駅員に聞いたりしてようやく見つけたのは、新幹線乗換口に向かう広場の太い円柱の前だった。碑は運んだばかりで固定されていないため、緑色のフェンスに囲まれていた。工事の人は「明日、この裏にコンクリを流し込んでしっかり止める」という話をしていた。
ぼんやりしていた私は、このままこの場所に固定したものと勘違いをしていた。さらに、“いつもの場所”についてもはっきりしなかった。

そこで、歌碑について駅のインフォメーションでお尋ねした。「以前は、3階のみどりの窓口付近にあった。10年くらい前に、今の場所に移動した」とのこと。
私は、移動したちょうど「その日」に「移動中の歌碑を目撃」したわけだった!啄木文学散歩 上野・本郷・湯島

2012年6月撮影
歌碑の仮置き場の位置を他の写真とも見比べてみた。移動中の歌碑は中央やや左の太い茶色の円柱の下に置かれていたらしいことが判った。




10年以上前に歌碑があった付近(明確ではない)

歌碑がかつて設置されていたという、3階のみどりの窓口あたりに行ってみた。はっきりした場所を知っている駅員の人には出会わなかった。



<動画 48秒> 歌碑の周辺

何枚か写真を撮っているあいだにも、啄木歌碑に見入ったり、手で撫でている人たちを見かけた。この場所は、東京と東北とを物理的にも心の中でもつなぐ役目を果たしているのだと感じた。