〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

絵本「サルと人と森」が好評

石川啄木の短編小説「林中の譚」をアレンジ、「自然観、見つめ直して」 /岩手

  • 啄木の没後100年となる今年、啄木が生前書き残した短編小説「林中(りんちゅう)の譚(たん)」を現代風にアレンジした絵本「サルと人と森」(NPO法人森びとプロジェクト委員会発行)が注目を集めている。09年に発行した絵本は増刷を重ね1万2000部を超え、売れ行きも好調。発行元のNPO法人は「大人も読んで自然観を見つめ直してほしい」と話す。
  • 「人間はいつの時代も木を倒し、山を削り、川を埋めて平らな道路を作ってきた。だが、その道は天国に通じる道ではなくて、地獄の門に行く道なのだ」。作品の中でサルが人間に話す言葉には重みがある。サルに啄木自身のメッセージを投影していると啄木記念館の山本玲子学芸員は解説する。「人間は自然より力があると思っていたが、昨年の震災でそれが過信だと気づいた」

(2012-06-14 毎日新聞>岩手)