〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

新刊案内『石川啄木』[コレクション日本歌人選]

  • 河野有時 著 笠間書院
  • 定価 1200円(税別)2月7日発売予定

  不来方のお城の草に寝ころびて
  空に吸はれし
  十五の心
石川啄木
「正直に言へば、歌なんか作らなくてもよいやうな人になりたい」。そう願いながら生涯を歌とともに歩んだ天才歌人。啄木にとって歌を作るのは「我」と向きあうことだった。文学、恋愛、中退、挫折、彷徨、東京、借金、病魔、故郷ーー夢を見たのも、夢から覚めたのもその才のゆえであったろう。
新しき明日を見渡したその眼は、また、ありふれた今日の中から近代の抒情を発見する。歌壇の圏外に出て、平易な言葉で日常をとらえた啄木短歌は日本近代文学史に打ち据えられた道標である。